在宅歯科診療を可能にするために

2005年時点での高齢者に占める要介護高齢者の人口は16.8%でした。また在宅診療に取り組んでいる医療機関は、全体の2割に満たない状態でした。在宅診療における要介護高齢者への歯科医療の供給は、通院患者を対象とした診療所の過剰状態とは違って完全に不足していたのです。こういった問題を改善すべく、診療所を中心とした歯科医療の供給体制の見直しが求められています。まずは在宅診療への歯科医師の参入を促進することが必要です。東京都では、在宅における口腔ケアや歯科診療などが多くの歯科医療機関によって進められるように「在宅歯科医療実践ガイドブック」が作成されましたが、こういった情報もぜひ利用してみたいものです。

また、従来の歯科では外来を持たない開業形態が認められなかったものの、これを改めて在宅診療に特化した開業形態が認められることも必要です。そうすれば在宅診療を日常業務として行う歯科医師が増え、日本の要介護高齢者の在宅歯科診療へのアクセスビリティは飛躍的に高まると言えるでしょう。